紅白衣装に魅せられて ― 2010年11月07日 09時28分10秒
「我が国で用いる『鬼子』とはどんな意味だか知ってるよな」
私は秘書のヤンに尋ねる。最近、N国との国交がギクシャクして困っている。
「はい、相手国を侮辱する言葉です」
そうだ、鬼子とは相手国を蔑称する言葉。最近、我が国民がN国のことを『N国鬼子』と叫びながらデモを繰り返している。
「しかし、それを見たN国がどんな反応を示したか知ってるか?」
「さあ。抗議の声を挙げたとか?」
ヤンは首をかしげる。
「それがだな、『N国鬼子』という萌キャラを募集してるんだよ」
普通、侮辱されたら抗議をするのが普通だ。それをN国では、鬼の女の子をモチーフとした萌えキャラ作りに精を出しているという。
「異民族の考えることは理解できんですな」
「N国から流出してきた映像を見たのだが、これがなかなか可愛いのだよ。ちょっとツンデレっぽくてな」
「首相! ダメです。これはN国の策略です」
策略と言われても可愛いものは仕方が無い。実は私は、N国で言う『萌え』に弱いのだ。
「そうだ、ヤン。N国の策略と言えば、N国特有の紅白の特殊衣装が我が国民を虜にしているという噂を聞いたが、それはどんな衣装なんだ?」
「はい。かなり特殊な衣装です。少し破廉恥なので、首相は見ない方が良かろうかと」
「しかし国民が虜にされているという衣装は気になるぞ。その映像もN国から流出していないのか?」
「申し訳ありません。実は私もすっかり魅せられてしまい、その画像を携帯に入れて密かに見ているのです」
謝罪しながらヤンは携帯を開いて私にその画像を示す。
それは、白い体操着に赤いブルマーをはいた女子高生の画像だった。
一時間で書く即興三語小説
▲お題:「流出」「異民族」「紅白」
私は秘書のヤンに尋ねる。最近、N国との国交がギクシャクして困っている。
「はい、相手国を侮辱する言葉です」
そうだ、鬼子とは相手国を蔑称する言葉。最近、我が国民がN国のことを『N国鬼子』と叫びながらデモを繰り返している。
「しかし、それを見たN国がどんな反応を示したか知ってるか?」
「さあ。抗議の声を挙げたとか?」
ヤンは首をかしげる。
「それがだな、『N国鬼子』という萌キャラを募集してるんだよ」
普通、侮辱されたら抗議をするのが普通だ。それをN国では、鬼の女の子をモチーフとした萌えキャラ作りに精を出しているという。
「異民族の考えることは理解できんですな」
「N国から流出してきた映像を見たのだが、これがなかなか可愛いのだよ。ちょっとツンデレっぽくてな」
「首相! ダメです。これはN国の策略です」
策略と言われても可愛いものは仕方が無い。実は私は、N国で言う『萌え』に弱いのだ。
「そうだ、ヤン。N国の策略と言えば、N国特有の紅白の特殊衣装が我が国民を虜にしているという噂を聞いたが、それはどんな衣装なんだ?」
「はい。かなり特殊な衣装です。少し破廉恥なので、首相は見ない方が良かろうかと」
「しかし国民が虜にされているという衣装は気になるぞ。その映像もN国から流出していないのか?」
「申し訳ありません。実は私もすっかり魅せられてしまい、その画像を携帯に入れて密かに見ているのです」
謝罪しながらヤンは携帯を開いて私にその画像を示す。
それは、白い体操着に赤いブルマーをはいた女子高生の画像だった。
一時間で書く即興三語小説
▲お題:「流出」「異民族」「紅白」
当たり前の果てに ― 2010年11月15日 00時46分27秒
同性愛相談所で見合い結婚したが、彼はオカマで男が居た。
そんな話を美佳にすると「当たり前だがや」と言う。
――当たり前
この一言があたしを縛る。あたしは美佳が好き。好きで好きでたまらない。でも周囲の人たちは”当たり前ではない”とあたしを突き放す。
だから勧めに従って同性愛相談所に行くことにした。
「僕にも彼氏がいるんです」
近づいてきた童顔の男性は瞳が輝いていた。
「彼氏のことが好きで好きでたまらないんですけど、周囲の人は変だと言うんです」
あっ、この人、あたしと同じだ。
恋している瞳。もしかしたらあたしもこんな瞳をしているのだろうか。だからきっと、この人はあたしのところにやって来たんだ。
その男性の名前は、聡史といった。
「周囲の人はみんな、僕に早く結婚しろと言うんです。でも僕は彼氏と別れることができない。だからここに来てみたんです。もしかするとここには、彼氏が居ても納得して結婚してくれる女性がいるかもしれない」
そんな結婚ってあるのだろうか? 結婚とは、愛し合う男女がするのが当たり前だと思っていたのに。
「あれ? あなたも好きな女の人がいるんでしょ? それなのに、どうしてそんな”当たり前じゃない”って顔をするんです?」
やだ、あたしそんな顔してた?
当たり前――そう言われるのが嫌で嫌でたまらないのに、それを棚に上げ自分では平気な顔をして使ってしまっていたなんて。
「じゃあ、一つ例え話をしましょう。この時期、道路に枯葉がたまりますよね。そんな道に雨が降ったらどうなります?」
「落ち葉が濡れます」
「その濡れ落ち葉の上を、あなたは自転車で走りますか?」
あたしなら決してそんなことはしない。濡れ落ち葉の上を自転車で走れば、車輪が滑って転んでしまうのが当たり前だ。
「自転車を降ります」
「あらら、あなたが地面に着いた足はぬかるみにはまってしまいましたよ。そこは舗装されていない道路だったんです。だから落ち葉の上を自転車で走り抜けるのが最も安全なのです」
「じゃあ、あたし達はぬかるみ同士だと?」
「そうです。同性愛なんて、他人から見たら人生のぬかるみです。はまってしまったら決して抜け出せない。それならそれで潔く認めてしまって、はまった者同士で結婚という濡れ落ち葉を身につけてみるのも悪くはないと思うんですけどね」
こうしてあたしは聡史の提案を受け入れ、結婚した。
結婚してから一年間、あたしは美佳を、聡史は彼氏を愛し続けた。そんなある日、聡史が驚くべく提案を切り出した。
「擬装とはいえ、名目上、僕達は夫婦です。だからだんだんと周囲の風当たりが厳しくなってきました」
「それって、子供のこと?」
「そうです」
最近は実家に帰っても、職場に居ても、「子供はまだか?」のコールが鳴り止まない。きっと周囲の人達は、結婚して一年も経てば子供ができるのが当たり前だと思っているのだろう。
「じゃあ、あたしに子供を生めと?」
「そうせざるを得ない状況になりつつあるのではと」
聡史は彼氏を愛し続けるといいつつも、結局あたしを性のはけ口として見ていたんだ。この一年間は一度もセックスをしようと言ってこなかったけど、この人は今、周囲の圧力を利用して結婚時の約束を破ろうとしている。
そう思うと、なんだか怒りがこみ上げてきた。
「違うんです。違うんです。僕の話を聞いて下さい」
聡史はあたしを椅子に座らせ、話を続けた。
「僕も今でも彼氏のことを愛しています。そしてあなたも美佳さんを愛している。だったら四人で子作りをしてみませんか?」
「四人で?」
「愛し合う者同士、仲間で交わるんです。四人で繚乱、美しいじゃありませんか。子作りなのでコンドームは使いません。そして授かった子供は四人で育てませんか?」
そんなの当たり前ではないと思った。でも、元々あたし達は夫婦の形態をしているけど当たり前ではない。
恐る恐る美佳に相談すると、驚くほどあっさり了承してくれた。それであたしも決心した。
その日は冷たい雨が降っていた。あたしと聡史は名古屋から到着する美佳を駅で待つ。
美佳を待ちながら、あたしはこれから起こる出来事に思いを馳せていた。
――四人で繚乱
何故だかその言葉があたしを魅了した。聡史に単にセックスをねだられたのなら、きっとあたしは拒否しただろう。でも四人なら、あたしは聡史に美佳との仲を見せつけることができる。きっと聡史も彼氏との関係を見せつけてくるに違いない。
「おまたせ」
太い声に振り向くと、そこには長身の男性が立っていた。聡史が熱い視線を送っているから、きっとその男性が聡史の彼氏なのだろう。
「勝也といいます。よろしくお願いします」
その声にあたしの子宮がうずく。不覚にも、この人の子を身ごもりたいと本能が目覚めた瞬間だった。
即興三語小説 第81回投稿作品
▲お題:「濡れ落ち葉」「自転車」「繚乱」
▲縛り:「冷たい雨が降っている」「同じ言葉を何度もくりかえし使う」「心情描写をさらりと簡潔に描く(目標)」「結婚相談所で会った彼は百面相(任意)」
▲任意お題:「あたしを縛る」「名古屋」「ドーム」「相談所で見合い結婚したが、彼はオカマで男が居た。」
そんな話を美佳にすると「当たり前だがや」と言う。
――当たり前
この一言があたしを縛る。あたしは美佳が好き。好きで好きでたまらない。でも周囲の人たちは”当たり前ではない”とあたしを突き放す。
だから勧めに従って同性愛相談所に行くことにした。
「僕にも彼氏がいるんです」
近づいてきた童顔の男性は瞳が輝いていた。
「彼氏のことが好きで好きでたまらないんですけど、周囲の人は変だと言うんです」
あっ、この人、あたしと同じだ。
恋している瞳。もしかしたらあたしもこんな瞳をしているのだろうか。だからきっと、この人はあたしのところにやって来たんだ。
その男性の名前は、聡史といった。
「周囲の人はみんな、僕に早く結婚しろと言うんです。でも僕は彼氏と別れることができない。だからここに来てみたんです。もしかするとここには、彼氏が居ても納得して結婚してくれる女性がいるかもしれない」
そんな結婚ってあるのだろうか? 結婚とは、愛し合う男女がするのが当たり前だと思っていたのに。
「あれ? あなたも好きな女の人がいるんでしょ? それなのに、どうしてそんな”当たり前じゃない”って顔をするんです?」
やだ、あたしそんな顔してた?
当たり前――そう言われるのが嫌で嫌でたまらないのに、それを棚に上げ自分では平気な顔をして使ってしまっていたなんて。
「じゃあ、一つ例え話をしましょう。この時期、道路に枯葉がたまりますよね。そんな道に雨が降ったらどうなります?」
「落ち葉が濡れます」
「その濡れ落ち葉の上を、あなたは自転車で走りますか?」
あたしなら決してそんなことはしない。濡れ落ち葉の上を自転車で走れば、車輪が滑って転んでしまうのが当たり前だ。
「自転車を降ります」
「あらら、あなたが地面に着いた足はぬかるみにはまってしまいましたよ。そこは舗装されていない道路だったんです。だから落ち葉の上を自転車で走り抜けるのが最も安全なのです」
「じゃあ、あたし達はぬかるみ同士だと?」
「そうです。同性愛なんて、他人から見たら人生のぬかるみです。はまってしまったら決して抜け出せない。それならそれで潔く認めてしまって、はまった者同士で結婚という濡れ落ち葉を身につけてみるのも悪くはないと思うんですけどね」
こうしてあたしは聡史の提案を受け入れ、結婚した。
結婚してから一年間、あたしは美佳を、聡史は彼氏を愛し続けた。そんなある日、聡史が驚くべく提案を切り出した。
「擬装とはいえ、名目上、僕達は夫婦です。だからだんだんと周囲の風当たりが厳しくなってきました」
「それって、子供のこと?」
「そうです」
最近は実家に帰っても、職場に居ても、「子供はまだか?」のコールが鳴り止まない。きっと周囲の人達は、結婚して一年も経てば子供ができるのが当たり前だと思っているのだろう。
「じゃあ、あたしに子供を生めと?」
「そうせざるを得ない状況になりつつあるのではと」
聡史は彼氏を愛し続けるといいつつも、結局あたしを性のはけ口として見ていたんだ。この一年間は一度もセックスをしようと言ってこなかったけど、この人は今、周囲の圧力を利用して結婚時の約束を破ろうとしている。
そう思うと、なんだか怒りがこみ上げてきた。
「違うんです。違うんです。僕の話を聞いて下さい」
聡史はあたしを椅子に座らせ、話を続けた。
「僕も今でも彼氏のことを愛しています。そしてあなたも美佳さんを愛している。だったら四人で子作りをしてみませんか?」
「四人で?」
「愛し合う者同士、仲間で交わるんです。四人で繚乱、美しいじゃありませんか。子作りなのでコンドームは使いません。そして授かった子供は四人で育てませんか?」
そんなの当たり前ではないと思った。でも、元々あたし達は夫婦の形態をしているけど当たり前ではない。
恐る恐る美佳に相談すると、驚くほどあっさり了承してくれた。それであたしも決心した。
その日は冷たい雨が降っていた。あたしと聡史は名古屋から到着する美佳を駅で待つ。
美佳を待ちながら、あたしはこれから起こる出来事に思いを馳せていた。
――四人で繚乱
何故だかその言葉があたしを魅了した。聡史に単にセックスをねだられたのなら、きっとあたしは拒否しただろう。でも四人なら、あたしは聡史に美佳との仲を見せつけることができる。きっと聡史も彼氏との関係を見せつけてくるに違いない。
「おまたせ」
太い声に振り向くと、そこには長身の男性が立っていた。聡史が熱い視線を送っているから、きっとその男性が聡史の彼氏なのだろう。
「勝也といいます。よろしくお願いします」
その声にあたしの子宮がうずく。不覚にも、この人の子を身ごもりたいと本能が目覚めた瞬間だった。
即興三語小説 第81回投稿作品
▲お題:「濡れ落ち葉」「自転車」「繚乱」
▲縛り:「冷たい雨が降っている」「同じ言葉を何度もくりかえし使う」「心情描写をさらりと簡潔に描く(目標)」「結婚相談所で会った彼は百面相(任意)」
▲任意お題:「あたしを縛る」「名古屋」「ドーム」「相談所で見合い結婚したが、彼はオカマで男が居た。」
気がつけば三桁(ボツ) ― 2010年11月24日 20時15分17秒
「金がほしい」
麻里がそんなことを口にするようになって一年が経つ。
だったら節約すればと俺は言うのだが、彼女は絶えず何かを食べている。
「いつも銀ばかりなの」
それなら、金色に輝く夕焼けの海を見ようと彼女を港に誘い出した。
「金色って素敵」
海の色に見とれる麻里を後ろからそっと抱きしめる。食べ続けているせいで、この一年間のバストアップは見たところ三十センチに達しているようだ。
「でも銀ばかり溜まっちゃって」
麻里は水面に視線を落とす。それはまるで、水の底には銀色の斧しか落ちていないかのように。
俺は彼女を振り向かせ、二人は見つめ合う。
「それでね、金が出たらやめようと思いながら食べてたら、いつの間にか百を超えちゃった。ん……」
麻里とのキスは甘い味がした。一年前ならお姫様抱っこをしていたシチュエーションだが、今はとても持ち上がらない。
「もう、強引なんだから。私も愛してるわ。だから記念に……、あなたにあげる」
付き合ってちょうど一年。ついに彼女は決心してくれたのか。俺の心拍数も倍に跳ね上がる。
「はい、百個目のカンヅメ」
麻里はチョコボールがひしめくバッグの中から、おもちゃのカンヅメを取り出した。
500文字の心臓 第100回「気がつけば三桁」に投稿しなかった作品
麻里がそんなことを口にするようになって一年が経つ。
だったら節約すればと俺は言うのだが、彼女は絶えず何かを食べている。
「いつも銀ばかりなの」
それなら、金色に輝く夕焼けの海を見ようと彼女を港に誘い出した。
「金色って素敵」
海の色に見とれる麻里を後ろからそっと抱きしめる。食べ続けているせいで、この一年間のバストアップは見たところ三十センチに達しているようだ。
「でも銀ばかり溜まっちゃって」
麻里は水面に視線を落とす。それはまるで、水の底には銀色の斧しか落ちていないかのように。
俺は彼女を振り向かせ、二人は見つめ合う。
「それでね、金が出たらやめようと思いながら食べてたら、いつの間にか百を超えちゃった。ん……」
麻里とのキスは甘い味がした。一年前ならお姫様抱っこをしていたシチュエーションだが、今はとても持ち上がらない。
「もう、強引なんだから。私も愛してるわ。だから記念に……、あなたにあげる」
付き合ってちょうど一年。ついに彼女は決心してくれたのか。俺の心拍数も倍に跳ね上がる。
「はい、百個目のカンヅメ」
麻里はチョコボールがひしめくバッグの中から、おもちゃのカンヅメを取り出した。
500文字の心臓 第100回「気がつけば三桁」に投稿しなかった作品
美少女探偵ハルカ、変身! ― 2010年11月24日 20時19分54秒
矢菱虎犇さん『美少女探偵ハルカ、脱ぎます!』の続き、いやパクリです。
「もしもし、もしも~し・・・あ、そちら悪の秘密組織ジョッカーの新青森駅前支部でしょうか?」
「ハイハ~イ、こちら新青森駅前支部」
「私、ジョッカーの首領です。あ、クリスマスプレゼントの配達、準備できたから」
「クリスマスプレゼント?」
「夏に美少女探偵ハルカに配達をさせて失敗した例の薬だよ」
「ああ、あれですか」
「こんどは、もっと手の込んだあくどい方法で届けるぞ(笑)」
「もっと手の込んだあくどい方法?」
「先日、うちの秘密基地に潜入して囚われた美青年がいてね。浦三馬春くんだ。彼に運び屋になっていただく」
「協力してくれますかねぇ、馬春くん」
「馬春くんには催眠術をかけてある。こちらから新幹線はつね号に乗って支部へと向かうようにね」
「かわいそうに」
「製造法は、馬春くんの美しい体の、普段お目に書かれない部分に特殊インクで書いてあるのだよ」
「わぁ首領、変態ですか! 日本中の女性ファンを敵に回しますよ」
「キーワードを耳にすると服を脱ぐように暗示をかけてある」
「ある言葉を聞くと脱ぎ始める? 見ちゃうと自信なくしそうですけど」
「決して支部に着くまで脱がないキーワードを考えた」
「偶然でも新幹線の中で脱ぎだしたら大変ですもんねぇ!」
「そのとおり。キーワードは美青年の前で決して口にしないような猥褻な言葉でないとな。しかもその言葉を女性が発音しないと反応しないようにしてある」
「万全ですねぇ!それで?女性が口にしない卑猥なキーワードとは?」
「それはなぁ・・・」
「聞いたか、ハルカちゃん」
「ええ、所長。盗聴成功ですね」
「どうだ、配達を阻止してくれるかね? ハルカちゃん」
「はい、キーワードは女性が発音しないといけないですし、その言葉も目星がついています」
「じゃあ頼んだぞ」
「はい。今回は季節限定特殊コスチュームで任務にあたります」
東北新幹線はつね号の客車内。車内販売の娘に扮した美少女探偵ハルカがカートを押して通路を進む。
「おみやげにご当地マスコットはいかがでしょうか? 北海道マスコット『まりもっこり』、そして商品化が見送られた幻の秋田マスコット『きり〇んぽ』の試作品はいかがでしょうか?」
「あっ、ミニスカサンタさんだ!」
「本当だ、ミニスカサンタだ。可愛い~」
「もう一回、『きり○んぽ』って言ってみて!」
「お、お客さん、私に群がらないで。そこ、そんな角度で写真を撮らない! ダメ、触っちゃ! やめて~!」
ミニスカサンタ美少女探偵ハルカは、りんさんの「トナカイの反乱」にも登場しています。
2010年 クリスマス競作
「もしもし、もしも~し・・・あ、そちら悪の秘密組織ジョッカーの新青森駅前支部でしょうか?」
「ハイハ~イ、こちら新青森駅前支部」
「私、ジョッカーの首領です。あ、クリスマスプレゼントの配達、準備できたから」
「クリスマスプレゼント?」
「夏に美少女探偵ハルカに配達をさせて失敗した例の薬だよ」
「ああ、あれですか」
「こんどは、もっと手の込んだあくどい方法で届けるぞ(笑)」
「もっと手の込んだあくどい方法?」
「先日、うちの秘密基地に潜入して囚われた美青年がいてね。浦三馬春くんだ。彼に運び屋になっていただく」
「協力してくれますかねぇ、馬春くん」
「馬春くんには催眠術をかけてある。こちらから新幹線はつね号に乗って支部へと向かうようにね」
「かわいそうに」
「製造法は、馬春くんの美しい体の、普段お目に書かれない部分に特殊インクで書いてあるのだよ」
「わぁ首領、変態ですか! 日本中の女性ファンを敵に回しますよ」
「キーワードを耳にすると服を脱ぐように暗示をかけてある」
「ある言葉を聞くと脱ぎ始める? 見ちゃうと自信なくしそうですけど」
「決して支部に着くまで脱がないキーワードを考えた」
「偶然でも新幹線の中で脱ぎだしたら大変ですもんねぇ!」
「そのとおり。キーワードは美青年の前で決して口にしないような猥褻な言葉でないとな。しかもその言葉を女性が発音しないと反応しないようにしてある」
「万全ですねぇ!それで?女性が口にしない卑猥なキーワードとは?」
「それはなぁ・・・」
「聞いたか、ハルカちゃん」
「ええ、所長。盗聴成功ですね」
「どうだ、配達を阻止してくれるかね? ハルカちゃん」
「はい、キーワードは女性が発音しないといけないですし、その言葉も目星がついています」
「じゃあ頼んだぞ」
「はい。今回は季節限定特殊コスチュームで任務にあたります」
東北新幹線はつね号の客車内。車内販売の娘に扮した美少女探偵ハルカがカートを押して通路を進む。
「おみやげにご当地マスコットはいかがでしょうか? 北海道マスコット『まりもっこり』、そして商品化が見送られた幻の秋田マスコット『きり〇んぽ』の試作品はいかがでしょうか?」
「あっ、ミニスカサンタさんだ!」
「本当だ、ミニスカサンタだ。可愛い~」
「もう一回、『きり○んぽ』って言ってみて!」
「お、お客さん、私に群がらないで。そこ、そんな角度で写真を撮らない! ダメ、触っちゃ! やめて~!」
ミニスカサンタ美少女探偵ハルカは、りんさんの「トナカイの反乱」にも登場しています。
2010年 クリスマス競作
続きの続きのプレゼント ― 2010年11月24日 20時32分29秒
トゥーサ・ヴァッキーノさん『プレゼント』(『ボッコちゃん』より)
haru123fuさん『トゥーサ・ヴァッキーノさんの「プレゼント」のつづき』
の続きです。
ねえねえ看護師さん、聞いて。
今年もクリスマスパーティをやろうと、招待状を書いたんだ。
まずは板金屋を継いだノボルでしょ。そして就職してこの街に戻ってきたアツシ。
この2人と僕とで、子供の頃はいつもツルんで遊んでたの。
それから、ホテルの若旦那のショウタ。
コイツは絶対に外せないんだよ。なんて言ったって、会場をタダで貸してくるんだから。クリスマスの日のゴールデンタイムにだよ。
ショウタんちは新進チェーン店もやってて、そこの唐揚げスペシャルをいつもみんな楽しみにしてるんだ。
パーティが盛り上がるだろ?
あと、女の子たちにも招待状を書いたよ。
豆腐屋からオカラ屋に嫁いだメグちゃん。
ピアノの先生になったミツコちゃん。
それから、僕が密かに好きだったユミちゃんね。
ユミちゃんは、かわいいお母さんになったって話だよ。
・・・・・・その話は、また後でするとして。
そして決して忘れられないのが、ブスだったカトー。
僕ね、小学生のころカトーに酷いことしちゃったんだ。
せっかくパーティに来てくれたのに、追い返しちゃった。
そしたらカトーはね、持ってきたプレゼントを僕に投げつけて帰っちゃったんだ。
それで、カトーとはそれっきり。
そのプレゼントはオルゴールだったんだ。
そう、今僕の手の上に乗っているのと同じ。
不思議なことに、このオルゴールの音色を聞いているとね、人の心や未来が見えるんだよ。
目を瞑ってこの音色を聞くと、美しい女性の姿がまぶたの裏に浮かび上がってくる。
きっとカトーも今頃、そんな女性になっていると思うんだ。
だから看護師さん、この招待状をカトーに届けてほしいんだ。
この物語は、おっちーさんの『プレゼントの結び』や、
haru123fuさん『終わりのあったストーリー!』に続きます。
ふろく:haru123fuさん『トゥーザ・ヴァッキーノさん作『プレゼント』のふろく』
2010年 クリスマス競作
haru123fuさん『トゥーサ・ヴァッキーノさんの「プレゼント」のつづき』
の続きです。
ねえねえ看護師さん、聞いて。
今年もクリスマスパーティをやろうと、招待状を書いたんだ。
まずは板金屋を継いだノボルでしょ。そして就職してこの街に戻ってきたアツシ。
この2人と僕とで、子供の頃はいつもツルんで遊んでたの。
それから、ホテルの若旦那のショウタ。
コイツは絶対に外せないんだよ。なんて言ったって、会場をタダで貸してくるんだから。クリスマスの日のゴールデンタイムにだよ。
ショウタんちは新進チェーン店もやってて、そこの唐揚げスペシャルをいつもみんな楽しみにしてるんだ。
パーティが盛り上がるだろ?
あと、女の子たちにも招待状を書いたよ。
豆腐屋からオカラ屋に嫁いだメグちゃん。
ピアノの先生になったミツコちゃん。
それから、僕が密かに好きだったユミちゃんね。
ユミちゃんは、かわいいお母さんになったって話だよ。
・・・・・・その話は、また後でするとして。
そして決して忘れられないのが、ブスだったカトー。
僕ね、小学生のころカトーに酷いことしちゃったんだ。
せっかくパーティに来てくれたのに、追い返しちゃった。
そしたらカトーはね、持ってきたプレゼントを僕に投げつけて帰っちゃったんだ。
それで、カトーとはそれっきり。
そのプレゼントはオルゴールだったんだ。
そう、今僕の手の上に乗っているのと同じ。
不思議なことに、このオルゴールの音色を聞いているとね、人の心や未来が見えるんだよ。
目を瞑ってこの音色を聞くと、美しい女性の姿がまぶたの裏に浮かび上がってくる。
きっとカトーも今頃、そんな女性になっていると思うんだ。
だから看護師さん、この招待状をカトーに届けてほしいんだ。
この物語は、おっちーさんの『プレゼントの結び』や、
haru123fuさん『終わりのあったストーリー!』に続きます。
ふろく:haru123fuさん『トゥーザ・ヴァッキーノさん作『プレゼント』のふろく』
2010年 クリスマス競作
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