湖畔の漂着物2014年10月31日 07時12分26秒

 海水浴をしていたら、水が凄く冷たい場所に迷い込んでしまい、驚いて砂浜に駆け上がった。
「あははは、あんちゃんもビックリしたか?」
 様子を見ていた海の家のおっちゃんがニヤニヤしている。
「そこ、みんな驚くんだわ」
「なんなんですか、ここは?」
 するとおっちゃんは口の前に人差し指を立てて、小声で話しかけてきた。
「この浜にはな、たまに湖畔が漂着するんだよ。だからその部分は真水で冷てぇんだ」
 湖畔が漂着する? どういうことだよ、それ。
「嘘だと思ったら、水の中ァ覗き込んでみな」
 言われる通り水の中を覗き込むと、赤や金色の魚が泳いでいた。
「海だったら鯉なんて泳いでねえだろ? だから湖畔なんだよ。砂や景色だって違うぜ」
 確かに砂もその部分だけ黒っぽくて、なんだかゴツゴツしている。波が静まると、見た事の無い山が雄大な姿を水面に映していた。
「これって……蜃気楼?」
「なことねえよ。山なんかどこにもねえだろ? それより今回はどこの湖畔なんだろうなぁ。あんちゃん、その景色に見覚えねえか?」
 見ると山頂はマッターホルンのように尖っていて、とても日本の山には思えない。
 ヤッホーと叫んでみると、ヤッホーと日本語でこだまが返って来た。



500文字の心臓 第134回「湖畔の漂着物」投稿作品☆逆選王

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