あたたかさ、やわらかさ、しずけさ2016年11月03日 22時11分12秒

ここは私立早熟中学校。高校を超えたレベルまで教えてくれると噂の超進学校だ。
その早熟中学校で昨年発生した小さな事件は、とある理科の授業参観が発端だった。
『ヤング率が高くなればなるほど、硬くなる』
教師が発したこの説明に、教室の後ろに陣取る生徒の保護者達はざわついた。
「まあ、こんなところまで教えるの?」と、予想以上に大人びた授業内容に顔を赤らめる保護者もいたという。
そして決定的だったのが、次の説明だった。
『弾性係数は根本的に、熱くなればなるほど下がり、柔らかくなる』
「えっ、男性係数?」と、一時は騒然とした教室だったが、保護者の険しい表情と共に静寂に包まれたのであった。

後日、中学校には「大人びた授業を否定はしないが、間違ったことは教えないでほしい」というクレームが相次いだという。



500文字の心臓 第151回「あたたかさ、やわらかさ、しずけさ」投稿作品

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策の質問です。このブログのタイトルは?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://tsutomyu.asablo.jp/blog/2016/11/03/8241565/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。