夢の樹 ― 2016年09月22日 23時18分23秒
大国主神が各地の地主神を呼んで、日頃の労いをすることになった。
「皆の者、日々の平穏への尽力、ご苦労である。褒美として願い事を一人一つ叶えて使わす」
ざわつく地主神たち。ここぞとばかり願い事を考え始めた。
「ただし、条件がある」
場は一瞬で静寂に包まれる。
「三人の願いが一致した場合のみ、叶えることとしたい」
流石の大国主神といえども、一人一人の願いを聞いてはいられない。
すると老人、若者、女性の三人組が手を挙げた。
「わしら、名前の漢字の『木』を『樹』に変えて欲しいんじゃ」
「それはなぜだ?」
「だって『木』より『樹』の方がお洒落じゃん」
「例えば『夏木』よりも『夏樹』の方が味があるわ」
「『樹』に変えてもらうのが、昔からの夢だったんじゃ」
大国主神は少し考えた後、首を大きく縦に振った。
「わかった。ではお前たちの名前を言ってみよ」
「俺、六本木」
「私は乃木坂よ」
「わしは木更津じゃ」
500文字の心臓 第150回「夢の樹」投稿作品
「皆の者、日々の平穏への尽力、ご苦労である。褒美として願い事を一人一つ叶えて使わす」
ざわつく地主神たち。ここぞとばかり願い事を考え始めた。
「ただし、条件がある」
場は一瞬で静寂に包まれる。
「三人の願いが一致した場合のみ、叶えることとしたい」
流石の大国主神といえども、一人一人の願いを聞いてはいられない。
すると老人、若者、女性の三人組が手を挙げた。
「わしら、名前の漢字の『木』を『樹』に変えて欲しいんじゃ」
「それはなぜだ?」
「だって『木』より『樹』の方がお洒落じゃん」
「例えば『夏木』よりも『夏樹』の方が味があるわ」
「『樹』に変えてもらうのが、昔からの夢だったんじゃ」
大国主神は少し考えた後、首を大きく縦に振った。
「わかった。ではお前たちの名前を言ってみよ」
「俺、六本木」
「私は乃木坂よ」
「わしは木更津じゃ」
500文字の心臓 第150回「夢の樹」投稿作品
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