鈴木くんのモロヘイヤ ― 2014年02月02日 21時33分57秒
初夏を迎えると、鈴木くんが丸坊主になった。と思ったら、頭の上から葉っぱが生えてきた。
「何の葉っぱ?」と訊いてみると、鈴木くんは「モロヘイヤ」と答える。
夏になると、モロヘイヤは青々と葉を茂らせた。
「ほら、栄養満点。野菜の王様だよ」
葉っぱを一枚一枚手で収穫しながら、鈴木くんは貧しい子供達を訪問する。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「いつもいつもありがとうございます」
夏の鈴木くんは人気者だ。
秋分の日を過ぎると、モロヘイヤから小さな黄色い花が咲き始めた。
「きれいだね、お兄ちゃん」
「まあ、可愛らしいですね」
花を見せて回る鈴木くんも、人気者だった。
やがて花は長い鞘となり、鈴木くんは中から小さな三角形の種をたくさん収穫する。
「お兄ちゃん、それ食べられるの?」
「欲しい? だったら、ちょっと人探しをしてほしいなあ」
「なに? その人探しって?」
「僕と同じように、体からモロヘイヤが生えている人を見つけてほしいんだ。そしたら、見つけた人数分だけ種をあげるよ」
きっとその人も鈴木くんだからと、手のひらで種を転がしながら鈴木くんは微笑んだ。
500文字の心臓 第128回「鈴木くんのモロヘイヤ」投稿作品
「何の葉っぱ?」と訊いてみると、鈴木くんは「モロヘイヤ」と答える。
夏になると、モロヘイヤは青々と葉を茂らせた。
「ほら、栄養満点。野菜の王様だよ」
葉っぱを一枚一枚手で収穫しながら、鈴木くんは貧しい子供達を訪問する。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「いつもいつもありがとうございます」
夏の鈴木くんは人気者だ。
秋分の日を過ぎると、モロヘイヤから小さな黄色い花が咲き始めた。
「きれいだね、お兄ちゃん」
「まあ、可愛らしいですね」
花を見せて回る鈴木くんも、人気者だった。
やがて花は長い鞘となり、鈴木くんは中から小さな三角形の種をたくさん収穫する。
「お兄ちゃん、それ食べられるの?」
「欲しい? だったら、ちょっと人探しをしてほしいなあ」
「なに? その人探しって?」
「僕と同じように、体からモロヘイヤが生えている人を見つけてほしいんだ。そしたら、見つけた人数分だけ種をあげるよ」
きっとその人も鈴木くんだからと、手のひらで種を転がしながら鈴木くんは微笑んだ。
500文字の心臓 第128回「鈴木くんのモロヘイヤ」投稿作品
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