少女、銀河を作る2021年09月28日 21時10分29秒

「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを祀れば道は開けよう」
 オババの声が境内に木霊する。篝火に照らされる深く皺が刻まれた顔がこちらを向いた。
「お主ならできる。この村の運命は託したぞ」

「だってさ、どうする?」
「どうするって作るしかないだろ。じゃないと先に進めないぜ、このゲーム」
 友人と興じる『ガールズ&ギャラクシー』で最後の課題が提示された。謎解きが難しいこのゲームもゴールまであと一歩だ。
「共通する文字は女。あとは幼から熟へ、銅から金、川から海へと変化している」
「だな。銅と金の間は銀だろう」
「じゃあ、幼と熟の間は?」
「成、じゃないかな」
「川と海は?」
「潟? それよりも素材の方が心配だ」
「大抵のものは揃ってる。足りなくなったら狩りに行くしかないな」
 こうして俺たちは素材集めを完了した。
「神よ、作り給え『成女、銀潟』を!」
 しかし現れたドラゴンは素材を一瞥すると飛び去ってしまった。
「ダメか。何が悪かったんだ? 素材が足りなかったのか?」
「それとも謎解きが間違っていたとか」
「何でダメなんだよ! もうちょっとなのに……」
 今日も俺たちは試行錯誤を繰り返している。



500文字の心臓 第183回「少女、銀河を作る」投稿作品

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