無線犬のダンス ― 2006年04月21日 06時47分04秒
「最近、あの人が悩んでいる。
どうやら、あの人が参加している文章塾で、
ダンスについての課題が出たようだ。
一人で悶々としているあの人の姿に心が痛む。
これは恩返しのチャンスだ。
ボクがダンスを踊ってあげればいい。
そうすればきっと、あの人はボクのことを書いてくれるだろう。
さて、何を踊ろうか?
難しいのはダメだ。ボクは犬だから。
となると、タンゴかワルツか・・・
タンゴは猫の専売特許のような気がする。
だからボクは、ワルツを選んでみた。
ワルツは3拍、ボクは4本足。
はたしてうまく踊れるだろうか・・・
スラブ民謡のように、6/8で刻んでみるのはどうだろう。
でもそれでは、とてもワルツには見えないな。
悩んだ挙句、前足と後足を同時に出して、
まるで2本足のようにワルツを踊ることにした。
訓練につぐ訓練の末、やっとボクは、
ワルツを踊ることに成功した!」
ビビビビ!
体を電気のような思念が貫く。
どうやらあの人がまた、想いを電波に乗せているらしい。
なになに、「ムセンイヌノダンス」?
また勝手なことを。でも変な願いとはいえ、恩人の希望だ。
ここは一つ、ワルツにでもチャレンジしてみるか・・・
文章塾のゆりかご 第1回「再提出:ダンス」投稿作品
どうやら、あの人が参加している文章塾で、
ダンスについての課題が出たようだ。
一人で悶々としているあの人の姿に心が痛む。
これは恩返しのチャンスだ。
ボクがダンスを踊ってあげればいい。
そうすればきっと、あの人はボクのことを書いてくれるだろう。
さて、何を踊ろうか?
難しいのはダメだ。ボクは犬だから。
となると、タンゴかワルツか・・・
タンゴは猫の専売特許のような気がする。
だからボクは、ワルツを選んでみた。
ワルツは3拍、ボクは4本足。
はたしてうまく踊れるだろうか・・・
スラブ民謡のように、6/8で刻んでみるのはどうだろう。
でもそれでは、とてもワルツには見えないな。
悩んだ挙句、前足と後足を同時に出して、
まるで2本足のようにワルツを踊ることにした。
訓練につぐ訓練の末、やっとボクは、
ワルツを踊ることに成功した!」
ビビビビ!
体を電気のような思念が貫く。
どうやらあの人がまた、想いを電波に乗せているらしい。
なになに、「ムセンイヌノダンス」?
また勝手なことを。でも変な願いとはいえ、恩人の希望だ。
ここは一つ、ワルツにでもチャレンジしてみるか・・・
文章塾のゆりかご 第1回「再提出:ダンス」投稿作品
無線犬の恩返し ― 2006年01月30日 11時49分03秒
雪の夜に、あの人はボクにミルクをくれた。
駅からは、こんなに沢山の人達が出てくるのに、
暖かいミルクをくれたのは、あの人だけだった。
なんとか恩返しをしたい。
あの人の家の前で、そんなもどかしい気持ちに支配される。
すると突然、電気のような思念が体を貫いた。
「カベヲ、ナオシタイ・・・」
これは何だ!?
人間界には無線LANというものがあるらしいが、これがそうなのか・・・
どうやらあの人は、電波に想い乗せて飛ばしているらしい。
次から次へとあの人の想いが降ってくる。
これは恩返しのチャンスだ。
家族に打ち明けらないあの人の想いを知っているのは、ボクだけだ。
そこでボクは、人間に化けることにした。
まず、家を改修してあげようと、大工に化けてみた。
すると、「リフォーム詐欺だな!」と追い返された。
次に、洗濯物をたたんであげようと、今時の家政婦に化けてみた。
すると、「メイドさんを呼んだのは誰なのーっ!」と
夫婦喧嘩になってしまった。
本物のダイヤの指輪を届けようとすると、
「もともと本物なんだよ!」と怒られた。
おでんの屋台を引いていくと、
「だいこんなんて大っ嫌い!」と息子に蹴られた。
いったいどうすれば、あの人は喜んでくれるのだろう。
途方に暮れていると、家族の人達に見つかってしまった。
「まあ、かわいいワンちゃん!」
「ねえパパ、この犬飼ってもいい?」
そして、あの人がやってきた。
「お前はあの時の子犬か。いいだろう、家に置いてやろう」
こうしてボクは、あの人の家にお世話になっている。
素のままでいることが恩返しになるとは、予想もしなかった。
何をやっても全くダメだったのが嘘のようだ。
今日もあの人は、電波に想いを乗せている。
「ユキノヨルニ・・・」
あの人も、あの日のことを思い出しているのだろうか。
へちま亭文章塾 第5回「小説+雪またはユキ」投稿作品
駅からは、こんなに沢山の人達が出てくるのに、
暖かいミルクをくれたのは、あの人だけだった。
なんとか恩返しをしたい。
あの人の家の前で、そんなもどかしい気持ちに支配される。
すると突然、電気のような思念が体を貫いた。
「カベヲ、ナオシタイ・・・」
これは何だ!?
人間界には無線LANというものがあるらしいが、これがそうなのか・・・
どうやらあの人は、電波に想い乗せて飛ばしているらしい。
次から次へとあの人の想いが降ってくる。
これは恩返しのチャンスだ。
家族に打ち明けらないあの人の想いを知っているのは、ボクだけだ。
そこでボクは、人間に化けることにした。
まず、家を改修してあげようと、大工に化けてみた。
すると、「リフォーム詐欺だな!」と追い返された。
次に、洗濯物をたたんであげようと、今時の家政婦に化けてみた。
すると、「メイドさんを呼んだのは誰なのーっ!」と
夫婦喧嘩になってしまった。
本物のダイヤの指輪を届けようとすると、
「もともと本物なんだよ!」と怒られた。
おでんの屋台を引いていくと、
「だいこんなんて大っ嫌い!」と息子に蹴られた。
いったいどうすれば、あの人は喜んでくれるのだろう。
途方に暮れていると、家族の人達に見つかってしまった。
「まあ、かわいいワンちゃん!」
「ねえパパ、この犬飼ってもいい?」
そして、あの人がやってきた。
「お前はあの時の子犬か。いいだろう、家に置いてやろう」
こうしてボクは、あの人の家にお世話になっている。
素のままでいることが恩返しになるとは、予想もしなかった。
何をやっても全くダメだったのが嘘のようだ。
今日もあの人は、電波に想いを乗せている。
「ユキノヨルニ・・・」
あの人も、あの日のことを思い出しているのだろうか。
へちま亭文章塾 第5回「小説+雪またはユキ」投稿作品
「無線犬のダンス」へのコメント ― 2006年04月21日 06時48分05秒
懐かしい。 例の恩返しの犬ですね。 読んでいると、キャラの可愛さを増したような気がして、いいですね。 ということは、作者のあたたかさ、優しさが表れているということで、素敵な小品でした。
_ おさか ― 2006年04月25日 12時14分59秒
か、かわいい・・・ワルツを踊る犬。もう、ムギューっとしてスリスリ~ってやりたいです!!評になってない?
_ ひょうたん ― 2006年04月26日 22時11分24秒
犬の気持ちが「ビビビビ!」と伝わってくる文章だと思いました。
ワルツを踊る犬。是非見てみたいです。
コメントは苦手なので、これで失礼させていただきます。
_ 木の目 ― 2006年04月27日 19時05分18秒
猫がタンゴで犬がワルツ。いいですね。
お茶犬よりかわいいかも。
今度は音楽入りで来ていただきたいです。
長台詞が印象的。
「?」な点。無理して足を手術する羽目にならないようお祈りいたします。
_ まめひよ ― 2006年04月28日 15時56分54秒
前回の作品と、今回の作品、無線犬でも同じ犬ではなくて、それぞれ違う犬で、性格もなんだか違うなぁと思いました。
ダンスでの再提出、無線犬のダンスですが、お話のリズムもテンポ良く、それにあったワンちゃんの性格も楽しめました。
_ 明日もmukamuka72002 ― 2006年04月28日 16時33分17秒
なんか前回の方が作品としては上だけど、
今回のは力がいい様に抜けて、
それは、それで良い感じだった。
それが、まめひよさんも言っている良いリズム&テンポとなってるのかも?
どうしても、良いものを書こう、
人に褒められたいと言う気持ちが先に立って、
ついつい、考えていた以下のはじけない作品になったりする。
無線犬やゴロゴロみたいなキャラ持つと、
遊べるからいいね。
……………………
☆大淀区共同電磁気法人よりのお知らせ、
ペースメーカー、医療器具に障害を与えるおそれが ありますので、電車内、病院などでの無線犬のご使用はご遠慮下さい。
_ マロ ― 2006年04月29日 00時35分26秒
二重構造の文章ですねー。とっても可愛くて忠実な無線犬なんだろうと思っていましたが、そういう面ばかりでもなく、ちょっと嫌々ながらも、まぁ仕方ないなと、主人の思いに応えようとしている様子がうかがえました。個人的にはこのまま、どんどんだらけた無線犬になっていって欲しい。そのほうが可愛さが増すから。
_ ぎんなん ― 2006年04月30日 00時28分36秒
二重構造も楽しいですし、何より主人の願いに応えようとする無線犬がかわいい。たまらない。にへへへ。
評にならない。すみません。
軽やかで読みやすく、楽しんで読みました。
_ 明衛門 ― 2006年04月30日 06時52分13秒
なんとも忠実な無線犬くん!
へちま亭文章塾には、キャラクターがたくさんあって、本当に 面白いし、楽しいです。
想像するに、すらすらと書けたのではないでしょうか。それでこんなに 軽やかで爽やかな文章になっている気がしました。
_ よっぱ ― 2006年04月30日 16時52分24秒
無線犬は飼い主の電波が来る前からちゃーんと準備万端で、なんて素敵なペットなんでしょう♪こんな犬欲しい 文章もリズムがあって良いと思います。
_ でんち ― 2006年05月02日 02時06分30秒
小犬のワルツなんかで踊っているのでしょうか。楽しそうだ。
キャラクター止められませんね。(笑)
_ 鹿王院知子 ― 2006年05月02日 06時49分55秒
お~、あのわんちゃんだ
スラブ民謡のように、6/8で刻んでみるのはどうだろう。
ここ、すごい、いい感じです
スラブ民謡っていうことばがでてきて異空間が できあがった、おもしろい と思います
by つとむュー [無線犬の冒険] [ゆりかご] [コメント] [コメント(0)|トラックバック(0)]