永遠の舞 ― 2016年02月07日 22時40分52秒
「ねえ、秒速七・九キロメートルって知ってる?」
「さあ? なんだかすごく速そうだけど……」
「第一宇宙速度。貴方が今作ってるその金属製の折鶴は、この速度を超えないと人工衛星にはならないのよ」
「へえ、この間買ってきたドローンで大丈夫だと思ってたけど。じゃあ、気球に括り付けて飛ばしてみるか」
「そして秒速十一・二キロメートル。この速度を越えないと、他の惑星には行けないの」
「なんだ、気球じゃダメなのか。宇宙に折鶴を飛ばすのって難しいんだな」
「さらに秒速十六・七キロメートル。この速度を超えないと、太陽の周りを回るだけになっちゃうの」
「ふうん、太陽の周りをね……。ところで太陽って永遠だと思う?」
「少なくとも私達の愛よりかは永いと思うけど」
「じゃあ、それで十分だ。折鶴は気球で飛ばすよ」
「それだったら私が作ったセルロースナノファイバー製の折鶴にしない? 中が真空になってて、それだけで飛んで行くけど」
「へえ、本当だ。これってどれくらい宙に舞っていられるのかな?」
「そうね、私達の愛くらいは大丈夫かな」
「じゃあ、一緒に飛ばそうよ」
「うん、これからもよろしくね」
500文字の心臓 第145回「永遠の舞」投稿作品
「さあ? なんだかすごく速そうだけど……」
「第一宇宙速度。貴方が今作ってるその金属製の折鶴は、この速度を超えないと人工衛星にはならないのよ」
「へえ、この間買ってきたドローンで大丈夫だと思ってたけど。じゃあ、気球に括り付けて飛ばしてみるか」
「そして秒速十一・二キロメートル。この速度を越えないと、他の惑星には行けないの」
「なんだ、気球じゃダメなのか。宇宙に折鶴を飛ばすのって難しいんだな」
「さらに秒速十六・七キロメートル。この速度を超えないと、太陽の周りを回るだけになっちゃうの」
「ふうん、太陽の周りをね……。ところで太陽って永遠だと思う?」
「少なくとも私達の愛よりかは永いと思うけど」
「じゃあ、それで十分だ。折鶴は気球で飛ばすよ」
「それだったら私が作ったセルロースナノファイバー製の折鶴にしない? 中が真空になってて、それだけで飛んで行くけど」
「へえ、本当だ。これってどれくらい宙に舞っていられるのかな?」
「そうね、私達の愛くらいは大丈夫かな」
「じゃあ、一緒に飛ばそうよ」
「うん、これからもよろしくね」
500文字の心臓 第145回「永遠の舞」投稿作品
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