物書き進化録2011年01月07日 20時03分42秒


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(桐原さくもさんが作成されたサイトです)


『タイムマシン・ルーペ』 2006年1月 公開

クルクルッ、バッシャーン!
急に体が軽くなったと思ったら、いきなり水の中に落とされた。
何がなんだかわからない。
恐る恐る周りを眺めてみると、そこは穏やかな南国の海辺の風景。
きれいなサンゴ礁が、浅瀬を作っている・・・

文章塾に投稿。800字。
初めて書いた小説。
将来、続きを書いて長編にしようと温めている。




『チビ地蔵の恋』 2006年8月 公開

「絶、対、上を見ちゃダメだからねっ!」
念を押しながらマリコが梯子を登っていく。ここは高校の体育館の舞台袖。トン、トン、トンと響く振動は、上を見てみたい衝動を駆り立てる。
「登っていいよ!」
我に返った僕は、発砲スチロール製の雪が入った袋を担ぎ、梯子に手を掛ける。これから始まる演劇で降らせるものだ。

文章塾に投稿。800字。
文章塾に投稿した前作がボコボコになり、その後で再起を誓った作品。
この作品を書いて以来、どんなに酷評を受けても笑えるようになった。




『すみれ座を探して』 2007年7月 公開

「ねえ、すみれ座って知ってる?」
 幼馴染の菜々が、真剣な面持ちで聞いてきた。
「なんだそれ?場末の映画館?」
「はぁ?星見てんだから星座に決まってんでしょ!」
「ゴメンゴメン、僕が悪かったよ。ちゃんと聞くからさぁ…」

文章塾に投稿。800字。
一番好きな話。
また同時に、ついに小説内で人を死なせてしまったと悩んだ作品。




『ネチャード・イレラレン』 2008年1月 公開

私の名前は、ネチャード・イレラレン
華麗なる天才ピアニスト
世界中を旅して、お目当ての女性を探している

文章塾に投稿。800字。
エロを書く喜びに目覚めてしまった記念?すべき作品。
続編、続々編を書いて、800字三連作になった。




『幸子』 2008年9月 公開

 素人でも手軽に文章が書ける方法はないかと、ネットで検索を試みた。
 いろいろなページが表示される中で、目に止まったのはこんなサイトだった。
『私の文章作法』 踊る文章塾 by月影ネット

文章塾に投稿。800字。
初めて三段落ちにチャレンジした作品。
その後のショートショートのひな形となる。




『秘密の下駄箱通信』 2009年6月 公開

「今朝は入っているかな…」
 最近僕は、下駄箱を開けるのが楽しみだ。
(あ、あった!)
 誰にも見つからないように白い封筒を取り出す。カセットテープが入ったマリコからの手紙だ。

文章塾に投稿。800字。
文章塾最後の作品。
推敲不足の上、完全実話なのでダブルで恥ずかしい。




『魔女っ子メイド美羽』 2010年4月 公開

 ガッチャーン!
 な、な、な、な、何コレ、なんで冷凍庫にこんなもの入ってるの!?
 だ、誰か、来てーっ!
「どうした、何があった?」
 あっ、店長が来てくれたみたい。よかった……

即興三語に投稿。2000字くらい。
初めて1000字を超えた投稿作品。
この作品で、即興三語に飛び込んだ。お題消化に必死で、中身は意味不明。




『フライパン桜子』 2010年5月 公開

 きゃはははは!
 街の中心を流れる想井川。そこに架かる願石橋を渡っていた直人の耳に、子供達の笑い声が飛び込んできた。
「お姉ちゃん、早く早くぅ~!」
「今度はもっとスピード出してよ~」
「待ってなさい、今行くわよ!」

ラ研GW企画に投稿。11000字くらい。
初めて10000文字を超えた投稿作品。
800字のノリで書いたため、心情・情景描写不足を露呈。




『外れた町』 2010年10月 公開

 水道水がものすごく美味しい町があると聞いて、早速俺は車を飛ばした。
 町の境界の峠には、土産物屋があって水汲みに必要な道具が並んでいる。
 ポリタンクが千円、柄杓が五百円、そして水道の蛇口の栓が——えっ、一万円!?

500文字の心臓に投稿。500字。
逆選王となった記念作品。


あおぞらにんぎょ2011年01月29日 12時09分05秒

 朝起きたら枕元に人魚が置いてあった。
「やった、願いが叶った!」
 ボクは喜びのあまり、鱗が黒光りする人魚を抱き上げた。
 説明書を読むと、その鱗は太陽電池になっているらしい。

 西暦二一○○年。
 二酸化炭素濃度の上昇に伴う温暖化がいよいよ深刻になった。
 このままの状況が続くと、古生代と同じ環境になって人類は死滅してしまう。
 そしてこの問題は、科学にとどまらず宗教にも及んだ。
 神は人をお造りになる前に、二酸化炭素を減らす生き物をお造りになったのではないか?
 困った宗教団体は、新たな学説を提唱した。

「人魚だ人魚だ。神様が地球で最初にお造りになった人魚だ!」
 嬉しくなったボクは、早速人魚を抱えて家を飛び出した。
 照りつける光を太陽電池に受けて、ウイーンと人魚が動き出す。
「初めまして。あたし水辺に行きたいな」
「じゃあ、ボクが連れて行ってあげるよ」
 近所の池に人魚を浮かべると、彼女は生き生きと泳ぎ出した。

 宗教団体が造り出した人魚のおもちゃは、泳ぎながら口から二酸化炭素を吸ってそれを水に溶かす。
 そして、古生代もこんな風に二酸化炭素が減ったと教えている。
 今日も各地の水辺では、太陽の光を浴びて沢山の人魚が泳いでいる。



500文字の心臓 第101回「あおぞらにんぎょ」投稿作品